土屋悠太郎 ~タイ・ランナー舞踊の名刺web~

バンコク在住。タイ北部ランナー地方の芸能を継承する子連れタイ舞踊家のブログ

 
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幻祭前夜、後半記録①

マハーバーラタ公演について書き上げることなく時間が経ってしまいました。
8月まで遡って記録をつけていきたいと思います。


8月26日
マハーバーラタ公演で日本一時帰国直前にバンコクで演出家小池博史氏と再会。
次回作執筆の旅を終えてすっきりされたご様子でした。
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新作脚本も少し拝読し、キャストの方々と音楽の情景を思い浮かべるにさすが面白かった。

購入してた御著書すべてにサインを頂戴して記念撮影。
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小池作品ファンの息子はマハーバーラタ仙台公演も鑑賞予定です。
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どれもおススメですが、新刊について感想を書いたのでご覧ください。

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小池博史 著「新•舞台芸術論~21世紀風姿花伝」再読。
書評とまでいかないけど感想をば。

2度読んでも心に残り忘れない一節がある。

<すなわち何もないところに足が踏み出されていくさまが舞になったのである>

この心境は昔の僕が踊り始める前の心境そのままでドキンとする。
そこを越えて踊る理由、それが僕の歩みを進め命の冒険を共にしてきたもの。
きっと表現に限らず仕事でも趣味でもなんでも誰にとっても一緒だろう。

それを貫く意志に人の生き様は現れる。
小池さんは全身から並々ならぬ生き様が滲み出ているので素直に凄いと思う。

本書には「分化」という言葉が何度も出てくる。これがくせ者で、何事も分野に分けたがる意識というのが僕たちの中には蔓延している。
過去に僕が演劇を目指した時はタイ舞踊は別物として切り離されたし、タイ舞踊をメインにした時には演劇は捨てるものだと勝手に思った。

「それも合わせて君だよね」と言ってくれた懐の大きな表現者は数えるほどだったし救われる思いがしたのを覚えている。
なぜならタイ舞踊習得の時間なくして日本で演劇の道に進む自分はあり得なかったし、すべては根っこで繋がっていたからだ。

僕にとって「表現」は生き方と同じ意味を持ち取り組み始めたが、やがて時が経ちその一語では足らなくなっているのを感じていた。
これから志すものは「舞台芸術」であり、その答えも理由もこの本には詳細に書かれている。

ところで小池博史さんは難解な人物だ。
新著の作品集「夜と言葉と世界の果てへの旅」を読むと常識を揺さぶられたりキュンとさせられたり、心をうがつ作品を執筆するにも関わらず実際に会う彼は大人なのに子どもみたいな奔放な性格。かと思ったら、急にギラついた眼光で哲学者のように語り出すので相対する立場としては何が起こるか分からない緊張感がある。

しかし舞台創作を共にした者なら分かるだろうが、すべては直感のまま裏表なく語る在り方に好感を抱く人は多い。(その逆も然りだけど、受け取り手の問題もあると思う)
ともあれ膨大な経験や芸術論を直接聞き出そうというのは無理難題である。

本書には小池氏が舞台創作に出会うまでの経緯からアーティストとして抱えた葛藤、35年以上の創作活動から模索し掴み取ってきた見識と経験という宝物がぎっしり詰まっている。
口にしては語れない、文章だから伝えられることがある。

舞台創作中に感じることだが、アーティストと向き合う時の彼は良い教師のようでもある。
安易に答えを示さず「君(の身体)ならどんな答えを出すかやってみて」と課題を与える。
実際は「なんか違うんだよなぁ~(悪態)。もっとやってみて。ははは、まーそれでいいや(適当)」みたいなやり取りだが、それまでの見え方がまったく変わる小池さんのOKには全幅の信頼が置けるのは本当だ。

小池博史ブリッジプロジェクトに参加することは僕にとってタイ芸能活動とはまた異なった心踊る出会いや経験を積むことができている。
だから舞台芸術のプロの方にも、プロ志望者にも、別の日常に生きる方々にも氏の公演やワークショップへの参加を勧めたい。

既存の型に嵌まった枠が外れたり、自分の身体が持つ新たな可能性に気がつけたり、いつもより世界が優しく豊かに感じられることと思う。

まずは「新•舞台芸術論~21世紀風姿花伝」を読み、その一端を掴んでみてはいかがだろう?

2018.9.2


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プロフィール

土屋悠太郎

Author:土屋悠太郎
◆タイ舞踊家-タイ北部ランナー文化継承-
【ランナー舞踊フォンジューン/剣舞フォンダープ/太鼓演舞グロンサバチャイ、チャイヤモンコン/テーワキンカラ―/ティンボン、モンスーン、チャープ演奏ほか】
タイネーム:Siri Mongkol Skana


1981生、神奈川県出身。京都精華大学卒業。
2002年、タイ・チェンマイに留学した際にPo kruu Mongkol(モンコン師匠)、kruu Peerawat Shiengcharee(ガン先生)に出会い、師事する。
北部タイ・ランナー地方の伝統舞踊フォンジューン、剣舞フォンダープを習得。人間国宝kruu Pan(パン先生)にも指導を受け、現地で多くのショーに出演し、経験を積む。
帰国後、タイフェスティバルやタイ王国総領事館主催パーティー招聘出演など日本国内のショー多数。

大学卒業後、三重県伊賀市で1年間の有機農業研修に従事。田畑を耕し、過疎地域に若者を招いて盛り上げる。その後、東京での俳優活動を経て、障がい者や高齢者と関わる仕事に携わる。利用者さんとの交流を通し、タイ芸能の「人を明るく元気にする力」を確信。2009年以降、毎年タイに渡り修行する。
2012年、師匠からSiri Mongkol Skanaという名前を授かる。

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2009年4月~6月渡タイ
kruu Saran Suwannachot(ニック先生)、人間国宝のkruu Kam(カム先生)に剣舞フォンダープをご指導いただく。モンコン師匠と7年ぶりの再会を果たす。

2010年4月~5月渡タイ
モンコン師匠のもと2ヶ月間の住み込み修行。ランナー芸能を幅広く学ぶ。太鼓作りの技法も学び、自作のサバチャイ太鼓とモンスーン太鼓を持ち帰る。

2011年3月、仙台在住時に東日本大震災発生。災害ボランティア活動に専念したのち、表現による支援活動を続ける。

2012年4月渡タイ
自身の誕生日に行った儀式ワイクルーにて「Siri Mongkol Skana」のタイネームを師匠より授かる。

2013年、初めての子どもを迎える。

2014年1月渡タイ
モンコン師匠宅で修行。kruu(先生)としての教えを受ける。ワイクルーを行うための特別なpapikaneet(象の顔をした表現の神)像を拝受。

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◆タイ芸能集団アロム・ランナー 主宰
タイで習得した芸能をもとに日本で喜ばれる表現方法を研究、実践する表現集団。タイ芸能ショー、異文化体験ワークショップの他、ハイブリッド紙芝居「とびだす紙芝居!タイのむかしばなし」では芝居、舞踊、楽器演奏をミックスした新しい表現スタイルの作品を上演。タイを身近に感じてもらえるプログラムが好評。(文化庁芸術家派遣事業プログラムとして2012年以降、実施)団体名は、ランナー地方の芸能の魅力が伝わるショーを目指し「ランナー気分」という意。

◆Art Revival Connection TOHOKU(ARC>T)
2011年3月11日の東日本大震災後、東北の舞台人が集まりジャンルを超えて結成した団体。4月設立当初から参加。文化を通して東北の復興を応援する取り組みにタイ芸能を活かした活動を行う。

◆夢トラック劇団~結~
NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが震災直後に主催したプロジェクト。4tトラックの荷台を舞台に、津波で被災した沿岸地域の子どもたちに芝居を届ける。
2011.4/29-5/5岩手~宮城(釜石・山田町・陸前高田・名取・東松島・石巻)全6ステージ。

◆TheatreGroup”OCT/PASS”
Vol.33“Play Kenji”♯6東日本大震災魂鎮め公演『人や銀河や修羅や海胆は』賛助出演。
2011.7/9-7/30宮城県内(大河原えずこホール・仙台錦町公園・瀧澤寺・秋保・古川)全8ステージ。
東北が誇る劇作・演出家、石川裕人を代表とする劇団。前身はアングラ劇団十月劇場。夢トラック出演時、裕人さんに誘われ震災後初の劇団公演参加。

◆絆支援員ワークショップ講師。仮設住宅を巡回する支援員のコミュニケーションワークショップを実施。

◆文化庁 H23-27年度「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」[東日本大震災復興支援対応]でさまざまなタイ芸能プログラムを実施。仙台市内・宮城県域の幼児~小学生にショーを届ける。

◆お芝居デリバリーまりまり
さまざまな場所にお芝居を届ける東京の俳優集団。タイの芸能を活かした取り組みも行う。『2009-10福祉職就労支援事業(厚労省委託事業)』『2011-12日本→ブラジルお芝居出前プロジェクト(静岡文化芸術大学・国際交流基金)』浜松公演~2012.8/6-23ブラジルツアー参加。

◆杜の都の演劇祭2012『深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール』プログラムディレクター。タイ芸能ショー含む構成、演出、出演。2013年2月1日(金)-3日(日)全6ステージ@タイ料理店サバイサバイ

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